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わたなべ薬房   

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毛細血管のメンテナンスは大切

2024年 3月号

漢方薬を飲む時に大きく分けて2つのパターンがあります。一つは今起きている辛い症状を改善したい時、もう一つは、病気になりづらい身体作りをするために予防で飲む時です。

中医学(漢方)では、未病先防(みびょうせんぼう)という言葉があり「病気になる前に体質を見ながら対処して、病気を未然に防ごう」という考え方があります。その中で、微小循環障害(毛細血管の血流が悪くなる状態)の改善がとても重要になります。

微小循環障害は、年齢を重ねる事で、ひそかに進行するもので、最初は気づかない所から始まり、肩こり、頭痛、しびれ、生理痛、手足の冷え、しみ、くすみ、口唇が紫色、目の下のクマなどが見られだし、症状が進むと、心臓(心筋梗塞)、(認知症・脳梗塞)腎臓(慢性腎炎、透析)、や血管(動脈硬化、高血圧)など、重大なトラブルへと発展していきますので要注意です。

血管といえば太い動脈を思い浮かべると思いますが、全身で太い血管は1%で残りの99%は毛細血管からなっています。

微小循環(毛細血管)の役割は全身に酸素や栄養を運ぶ事と、老廃物を回収して排出する働きがあります。微小循環障害だと、酸素や栄養が細胞に届かず細胞が死んでいきます。老廃物が回収されないと疲れやすくなります。疲れには栄養を補う事も必要ですが、老廃物を取り除いて、排毒する事で体のスッキリ感が得られます。

微小循環障害は、あらゆる病気の原因になると言われているので、日頃から車のエンジンオイルを交換するように、漢方薬などで身体のメンテナンスをしていくといいでしょう。

ストレスと免疫

2024年 2月号

人間の体は、自律神経の交感神経(活動する神経)と副交感神経(やすらぐ神経)のバランスをとりながら体の働きを正常に保っています

ストレス(緊張や不安、我慢、イライラ)が持続すると交感神経と副交感神経が同時に活性化してしまいます。

①交感神経の活性化では、顆粒球という炎症性の細胞免疫が増えて体を攻撃して炎症を起こし続け慢性炎症となり組織が破壊されます。肝臓なら肝機能障害、胃なら胃炎、鼻では慢性副鼻腔炎など炎症性疾患になりやすいので要注意です。

②副交感神経の活性化では、リンパ球というアレルギーなどに関係する細胞免疫が多くなり、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎が悪化したり、自己免疫疾患がおこりやすくなります。これらのようにストレスが持続する事で、免疫のバランスが乱れ様々な疾患が起こります。

免疫の一つにIgA抗体という、ウイルスや菌から体を防衛する免疫物質があります。ストレスを受けるとIgA抗体は減少します。また睡眠では5時間未満の短時間睡眠9時間以上の長時間睡眠の方もIgA抗体の分泌が減少します。すると、体を守る力が弱り風邪を引きやすい、インフルエンザやコロナに感染しやすくなります。

これらのようにストレスや睡眠障害は、免疫に対して深い関係があります。免疫を安定させるには、休息とリラックスがとても大切になります。リラックス効果や心を落ち着ける、睡眠質をよくする漢方薬などを上手に活用しながら、ストレス・免疫対策をしていきましょう。

「腎」を補う食品で元気な体に

2024年 1月号

中医学(中国の伝統医学)では、季節と五臓六腑と味に関連があると考えられています。

(情緒、自律神経に影響)=酸味

(循環器、精神に影響)=苦み

土用(消化器に影響)=甘味

(呼吸器、皮膚、免疫に影響)=辛味

(元気の源)=鹹(塩辛い)

などに関連しています。

回は冬の「腎」についてご紹介します。

中医学での「腎」は西洋医学の腎臓とはイコールではなく、もっと幅広い意味を持ち、成長、発育、生殖、老化に深く関わっているといわれています。具体的に影響が出る症状には、子供では骨や脳の発育不全、大人では物忘れ、骨粗鬆症、足腰の衰え、加齢に伴う耳の機能低下、白髪、頻尿、夜間尿、歯の弱りなどあります。

また「腎」はホルモンを蓄えているので、更年期障害不妊症にも大きく関わっています。

「腎」は元気の源で、産まれてきた時に親から授かり、その後は飲食によって不足を補っています。「腎」は年齢により必ず衰えてくる臓腑ですので、腎を補う食品を上手に取り入れる事で身体の土台がしっかりして元気を保つ事ができます。

腎を養う物には塩気のある鹹い(塩辛い)食べ物や黒い物がよいとされています。

*塩辛い物とは自然の塩辛さの事で、塩化ナトリウムを使った食塩の塩味は体にはよくないのでご注意下さい。

「腎」によい食材は、天然塩、牡蠣、昆布、黒ゴマ、わかめ、海苔、ひじき、黒豆や豆類、くるみ、枸杞の実、山芋などがおすすめです。

この冬は「腎」を補う食品を積極的に取り入れて、元気な身体作りを目指していきましょう!

風邪の時の漢方薬の選び方

2023年 12月号

風邪を引いた時に、その時の症状に合う漢方薬が分かっていたら、すぐに対処する事ができて知っていると便利ですので、今回は風邪の初期の状態に服用できる漢方薬の選び方をご紹介致します。

【風寒実証】

寒気が強い(いくら着こんでも寒い)、汗が出ない状態、発熱や頭痛、関節の痛みを伴う事も。

この時はスピードが勝負です。ゾクッときたら麻黄湯を汗が出るまで服用し発汗させる事により風邪を追い出す事ができます。この症状に後背部のこわばりがあれば葛根湯も服用できます。麻黄湯、葛根湯は発汗させて風邪を治す漢方薬ですので、汗が出た後は服用を控えて別の処方にスイッチします。汗が出ているのに服用していると体力が奪われ風邪をこじらせますのでご注意下さい。

【風寒虚証】

風にあたるとゾクッとした寒気があり、発熱、汗がジワッとでる。頭痛を伴う事もある状態。

この風邪は、風邪の初期でも汗が出ているので発汗させる漢方薬(麻黄湯、葛根湯)は服用できません。この時は体を温めながら回復させる桂枝湯を服用します。

【風熱実証】

熱感を強く感じ、発熱、のどの痛みや口が渇くのが特徴です。

寒気もありますが発熱やのどの痛みの方が強い傾向です。この風邪は熱の邪気ですので、熱を鎮めて風邪を治す涼解楽、銀翹解毒散を服用します。この症状に温める麻黄湯、葛根湯、桂枝湯の服用はお控え下さい。

【外感風湿】

寒気、だるさがあり、吐き気やムカムカ、下痢などの胃腸症状を伴う風邪。

この風邪のタイプは胃腸にきた風邪ですので、胃腸の働きを整えながら風邪を治す勝湿顆粒を服用します。また、胃腸炎などの急性の疾患にも服用できます。下痢や吐き気がある時は、「麻黄」が入っていると、胃腸に負担がかかりますので、麻黄が入っている、麻黄湯や葛根湯の服用はお控え下さい。

【往来寒熱】

寒気や熱感が交互に現れる、食欲不振、むかつき、口の渇きや苦み、粘りが特徴です

寒気がするなと思ったら、熱感が強くなったり発熱したりを繰り返す風邪で、初期というより風邪が内にこもった時に現れます。胃腸症状を伴い寒気と熱感が交互に現れるのが特徴で、その時は小柴胡湯を服用します。これに悪寒、発熱、頭痛が強い場合は柴胡桂枝湯を、高熱で便が出ない時には大柴胡湯を服用するといいでしょう。

 

この他の風邪のタイプに対応できる漢方薬もあります。また風邪の予防に使える漢方薬もございますので、興味のある方はお気軽にご相談下さい。

 

舌を診て身体の状態をチェック

2023年 11月号

中医学(漢方)では、身体の状態を診るのに「舌」の状態を確認します。舌は五臓六腑につながり、気、血、津液(水)が足りているか、邪魔していないかを客観的に診る事ができます。朝起きたら自分で身体の状態をセルフチェックできる様に簡単な舌の診方をご紹介します。

【淡白舌】 色が薄く白っぽい舌

元気や栄養が低下している状態です。疲れやすかったり、血が不足している場合もあります。白が濃い時は体の冷えが強い状態です。

【紅舌】 色が赤い。

体に熱がこもった状態(体温とは別)。ほてり、のぼせ、口や喉が渇きやすい。炎症性疾患や内熱があり更年期症状が起きやすい状態です。

【紫舌】 色が紫、暗い

舌の裏に紫が浮き上がっている。

血の巡りが悪く滞っている状態です。

血行不良、動脈硬化などで現れます。

【白苔】 舌に白い苔がのっている。

胃腸の消化能力以上の飲食物が処理できずに苔が湧き上がって、老廃物が溜まっている状態。

【黄苔】 舌に黄色い苔がのっている。

老廃物が長く停滞する事で、苔に色がつく。

体に熱がこもっていたり、アルコール、脂物や消化の悪い食べ物が続いたりすると出てきます。

*苔(白も黄色も)は体の中から湧き出てくる物ですので、苔磨きを行っても、原因が改善されなければ、また湧き出てきます。

【胖大舌】 舌がポテッとして広がっている。

冷えや胃腸の弱りにより水分代謝が悪くなり舌に水が溜まっている状態です。

【歯根舌】 舌に歯型がついている。

疲れがあると、舌を支えられなくなり舌がベロンと垂れ下がり、歯に押されてつきます。

歯形と胖大がある時は、冷えや水分代謝の低下している状態です。

正常な舌は、薄い紅、薄い苔になります。

上記の他にも様々な舌の状態がありますが、簡単に身体の状態を把握するのにチェックしてみて下さい。気になる状態があればお気軽にご相談下さい。

血虚(けっきょ)

2023年 10月号

中医学(漢方)では、血が不足している状態を血虚(けっきょ)」と言います。血が不足しているからと言って必ず貧血があるわけではありません。「血虚」になると、「潤い」「栄養」「精神状態」に影響を及ぼします。血虚で現れやすい症状をご紹介しますので、チェックをしてみて下さい。

【血虚の特徴】

『潤いの低下』…お肌が乾燥しやすい(乾燥肌)、顔色・皮膚にツヤがない、髪がパサつきやすい、抜け毛・枝毛が多くなった、大便乾燥の便(コロコロ便など)、フケが多い、かゆみ、口が渇くがあまり飲めない。

『栄養の低下』…疲れやすい、めまい、立ちくらみ、爪がもろく割れやすい、肩こり、冷え性、顔色が血色不良、目の乾きや疲れ、手足のしびれ、貧血、不妊症、生理の量が少ない、生理不順。

『精神状態』…気分が落ち込みやすい、心に余裕がなくなる、イライラする、睡眠がよくない(眠りが浅い)。

血虚があると上記のような症状がおこりやすくなります。特に女性の場合は、生理で物理的に血が消耗するので、血虚になりやすいです。また、秋は乾燥の季節ですので、血虚の方は乾燥の症状が強く現れやすくなります。

血の不足というと「鉄剤」を思い浮かべると思いますが、血虚は、単純な血の不足と違い、血があるけど働いていない状態も含みますので、「当帰」という生薬が多く入っている漢方薬が効果的です。「当帰」には、血液を補う、皮膚や腸を潤す、血液循環改善、月経を整える働きがあります。

血虚体質を改善したいとお考えの方は、お気軽にご相談下さい。

慢性腎臓炎

2023年 9月号

腎臓の主な働きは、1、排毒豊富な毛細血管と血流により毎日180Lの血液をろ過して血液を洗浄しています。2、イオンバランスの調整 3、血圧の調整 4、赤血球の産生・調節機能低下で赤血球産生が減り貧血になりやすくなります。5、ビタミンDの産生・調節機能低下でカルシウムの吸収が悪くなり骨粗鬆症が起こりやすくなります。 これらのように腎臓は、体の中でたくさんの重要な働きを行っています。

 腎臓疾患には「慢性腎臓病」「ネフローゼ症候群」「腎炎症候群」「高尿酸結晶(痛風)」「尿路結石」などがあります。その中で今回は、慢性腎臓病(CKD)についてご紹介します。

慢性腎臓病の原因は、老化生活習慣病(糖尿病、高血圧、肥満)などの他に、血流障害、免疫複合体による慢性炎症などがあります。

腎臓の糸球体(血液をろ過する器官)は毛細血管が豊富で、血流量が少ないと老廃物が沈殿しやすくなります。沈殿物があると免疫反応により炎症が起き、腎臓組織の損傷を引き起こす事で、慢性腎臓病となりクレアチニン値などが高くなります。病態が進行すると透析になってしまいますので、早いうちの対処が重要です。

慢性腎臓病の最大の敵は「老化、血流障害、免疫による炎症」です。

慢性腎臓病の中医学(漢方)での対応は、老化のスピードを遅らせる「補腎(ほじん)。血液の流れをスムーズにして糸球体に沈殿物が溜まらないようにする「活血(かっけつ)。免疫調整し炎症を抑え腎臓組織の損傷を食い止める「化痰(かたん)という方法で慢性腎臓病に対処する事ができます。

腎臓病でお困りの方はご相談下さい。

疲れがとれない

2023年 8月号

以前、疲労は肉体疲労が多く、栄養素を補う事で疲労を回復するという事が主でしたが、現代では生活習慣も変化し疲労の現れ方も様々になってきました。なかなか疲労回復できないという方は疲労を起こしている原因を見つける事が大切です。そこで、栄養補給でとれない疲労のパターンをご紹介させて頂きます。 

【夏の疲労】近年の気温上昇による暑さにより心肺に負担がかかる事が原因で、息切れ、動悸、不整脈、体力が続かず疲れやすいのが特徴です。

【湿度による疲労】…胃腸は湿気に弱いため、湿度が高くなると胃腸の働きが弱り、水分代謝が悪くなる事により体に余分な水分が停滞する事が原因で、頭や体が重だる~い疲れが現れるのが特徴です。軟便や、食欲の低下、だるさが続いたり、むくみや頭痛を併発する方もいます。

【胃腸虚弱型】…食が細く、軟便でやせ型の方は、胃腸が元々弱い傾向にあります。胃腸は、摂った栄養から元気を作りだす臓腑で、胃腸の働きが弱いと栄養をエネルギーに変えられない事で疲れやすくなります。

【食積型】夜8時以降に食事をとる方は、朝の目覚めが悪く、だるさがとれないという疲れが特徴です。これは食積(消化しきれない食事)が、睡眠のリズムを乱す事が原因で、疲れがとれないまま朝を迎えてしまうからなのです。

【精神的疲労】…やる気がおきない、意欲が湧かないなどは精神的疲労が原因です。朝の起床時に倦怠感が一番強い、寝ても疲れがとれないのが特徴です。考え事や心配事が多い、嫌な事、我慢する事があるとおこる疲労です。

以上のような原因に対して、適切な漢方薬を服用する事で、なかなか取れない疲労を回復する事ができます。疲労でお困りの方はお気軽にご相談下さい。

よくならない皮膚病

2023年 7月号

皮膚病になった時、病院でお薬を頂いて、よくなればいいのですが、なかなかよくならない方もいられます。皮膚は内臓の鏡と言われるように、皮膚はその部分だけの問題でなく体の中が関係しています。体質や生活習慣、食事、環境、ストレスなどの影響により体のバランスが乱れる事で、治りづらい状態になってしまうのです。治りづらい原因の一つに「粘膜の異常」があります。これには2つのパターンがあります。

一つは生まれつき皮膚の弱い方(アトピーなど)で、粘膜が薄い傾向にあり、そのため腸の粘膜も薄く腸管粘膜からアレルゲンが血液に侵入しやすくなる事で、免疫の過剰反応を起こし血管が拡張して皮膚の炎症が続いてしまいます。

もう一つは、元々皮膚が弱くない方の場合で腸内環境を悪くする食事、例えば乳製品、お肉、脂物、甘い物、お酒など、消化が悪く高タンパクな食事が続くと、腸に負担がかかり、腸の粘膜が破綻して慢性炎症を起すために、炎症反応が皮膚に起き、繰り返します。このような事があると、塗り薬を塗っても治りづらいのです。

粘膜が慢性炎症を起こすと、免疫反応により血管が拡張し赤みが出ます。拡張した血管から滲出物がもれると、ジュクジュクします。化膿すると膿胞炎症を助長します。

治らない皮膚病の原因の一つは、腸管粘膜の弱りや破綻による炎症反応が関係している事が多いです。対処法としては、腸に負担のかかる食事に気をつけて、粘膜を丈夫にする漢方薬を飲みながら体質改善をする事が必要です。

良くならない、繰り返す皮膚病を改善したい方はご相談下さい。

気象病・天気痛

2023年 6月号

最近では「気象病」という言葉も広く認識されるようになりました。気象病とは、低気圧が近づく(天気の悪い日、台風、雨の日)などに体調が悪くなる症状を言います。なぜ体調が天気に左右されるかというと、雨の日などは気圧が低くなります。外の気圧が低いと体内の圧が高くなり細胞が膨張する事で、体の不調を引き起こします。現れる症状や場所は人によって違います。

【頭部】…「頭痛」 「頭が重い」「眠たい」

耳】…「めまい」 「耳鳴り」

鼻】…「くしゃみ、鼻水、鼻づまり」関節】…「関節痛」「リウマチ」

目】…眼球のむくみにより「目痛」、 胃腸】…「軟便」 「食欲不振」

などのような症状が天気によって悪化します。しかし、天気によって症状が現れる人と現れない人がいます。その違いはなんでしょう?

気象病が起こりやすい人は体内の水分代謝が悪くなり、体に必要のない水が停滞している所に低気圧で細胞が膨張する事で症状が現れます。原因は水分代謝の低下にあるので、出ている症状に合わせて水分代謝を促す漢方薬を飲む事で症状が緩和されます。

逆に天気がいい日に体調が良くない、頭痛がする、または旅行先、スーパー、人混みに行くと頭痛がするという人もいます。これらは、脳内のセロトニン不足三叉神経が過敏なために起こります。こちらは、セロトニンを増やす働きのある漢方薬と過敏に反応をする事を防ぐ漢方薬の服用で、症状は落ち着いてくるでしょう。

以上のように気象病に対する対処法は、それぞれあります。気象病でお悩みの方はご相談下さい。

動悸

2023年 5月号

西洋医学(病院)で動悸は、心臓疾患(不整脈、心不全、心房細動など)や甲状腺の異常がないかを検査します。検査で異常がない場合は、自律神経の乱れや何らかの原因で体のバランスが乱れる事で動悸が発生していますので、このような場合は漢方薬の服用が効果的です。

中医学(漢方)では、動悸を7つのタイプに分けて対応しています。

①気血不足精神疲労や病気、胃腸の弱りなどで    心血が消耗する事で心が養えなくなり起こります。

②陰虚火旺更年期自律神経失調症や、ほてりやすい方に多く見られます。 

③心陽不振大病の後など衰弱して、心臓の力が弱り起きます。

④水飲凌心…冷え性で、水が体内に停滞する事で心臓を圧迫して起きます。めまいや息苦しさを伴う事があります。

⑤心虚胆怯普段から驚きやすく、不安感が強くなる時に起きます。

⑥心血瘀阻血液の巡りが悪い事で、血液がスムーズに流れない為に起きます。

⑦肝鬱胆阻ストレスなどで、気血の巡りが乱れ痰飲(老廃物)が出来る事で、心臓の働きを邪魔する事で起こります。

以上7つのタイプがありますが、これらの動悸を起こしている原因に合わせた漢方薬を服用する事で症状を改善する事ができます。また、動悸が続く事により不安感が増してくる事もありますので、自律神経を落ち着かせる漢方薬の服用も効果的です。

動悸がある時は、重大な病気が潜んでいる可能性がありますので、まずは病院で検査をして頂き、大きな問題がないか、原因が分からない時に漢方薬の服用をおすすめします。

耳の詰まり・閉塞感

2023年 4月号

耳が詰まった感じがする、塞がった感じがすると言われる方がいます。これにはいくつかの原因があります。耳垢など異物が溜まるなど物理的な原因風邪の後の炎症による腫れ鼻炎症状や中耳炎を起こしているなど、原因が分かりやすい場合と、分かりづらい場合があります。原因がわかりづらい耳の詰まりは、ストレスなど自律神経の乱れ疲労や睡眠不足などの過労により耳の奥の「内耳」(ないじ)に問題が起きたり、耳と鼻をつなぐ「耳管」(じかん)という管に問題が生じた時に起こります。耳管は、普段は開いたり閉じたりして耳内と外の圧を調整しているのですが、この調整がうまくいかなくなると、詰まった症状が起こります。

その中の一つ「耳管開放症」は、耳管が開きっ放しになる事で、耳の詰まりの他に自分の声が反響するという特徴があります。耳鳴りを伴う場合もあります。

もう一つは、「低音障害型感音難聴」といい、内耳の蝸牛という音を脳に伝える器官内のリンパ液の圧の異常により起こります。低音が聞こえづらい、耳鳴りや水が入った感じになるのが特徴です。

これにめまいが加わると「メニエール病」が関係してきます。低音障害型感音難聴とメニエール病は症状が似ていますが、低音障害型感音難聴は蝸牛だけの問題で、三半規管には問題がないので、めまいを伴わないのが特徴です。

物理的な原因でないときの中医学的(漢方)対応は、それぞれの原因によって異なりますが、理気活血という方法で、耳管や蝸牛の働きを調整して耳の詰まりを解消する事ができます。

アレルギー性鼻炎

2023年 3月号

春になると起きやすい症状の一つにアレルギー性鼻炎があります。アレルギー性鼻炎には、花粉など特定の季節に起きる「季節性鼻炎」とダニやハウスダストなどが原因の「通年性鼻炎」があります。春にひどくなるのは、季節性鼻炎ですね。季節性鼻炎は花粉だけでなく、春の風が粘膜を刺激して起きる事もあります。その時は「血管運動性鼻炎」という鼻の血流が悪い事により、温度差が影響して現れる鼻炎もあります。アレルギー性鼻炎と血管運動性鼻炎は、くしゃみ、透明な鼻水、鼻づまりなど、出る症状は似ていますが、アレルギー性鼻炎は粘膜にIgE抗体という物質が付着しています、血管運動性鼻炎にはIgE抗体が存在しないのが違いです。IgEは血液検査で調べる事ができます。

(血管運動性鼻炎は過去の記事で、ホームページに載せていますのでそちらを参照下さい)

アレルギーでは花粉や細菌が侵入した時にIgA抗体という免疫物質が、これらを死滅させます。しかしストレス睡眠不足になるとIgA抗体は減少してしまい、アレルギー反応が出やすくなります。

アレルギー体質の人は、長年の食生活の影響が大きいです。アレルギー体質になりやすい食生活は、冷たい物のとり過ぎ、高タンパク、高脂肪の食事が続くと胃腸や粘膜を弱らせIgA抗体の産生が少なくなり、アレルギーを発症しやすくなります。

アレルギー性鼻炎の対策には生活習慣や食事を見直す事が大切です。鼻炎薬で症状を抑えるだけでなく、アレルギー体質を改善したいと考えている方は、ご相談下さい。

体質別食養生

2023年 2月号

食材には栄養成分の他に、温める、冷やす、巡らせる、潤いをつけるなど、食材の性質がそれぞれあります。中医学や薬膳では、この性質を重要視します。

例えば豆腐タンパク質が豊富で体にいい食材ですが、性質は冷やします。冷え性の方がとりすぎると体を更に冷やしてしまいます。冷え性の方が豆腐を食べる時は、温める性質があるおろし生姜と一緒に食べる事で、豆腐の冷やす性質を和らげる事ができます。逆に夏の暑い日には、体のほてりをとったり潤いを補給するのに適しています。

このように、栄養成分だけみたり、体にいいと聞いたからと食材を選ぶと、実は自分の体に合ってなかったという事がよくあるので要注意です。食材の性質季節自分の体質に合わせて食材を選ぶ工夫が必要です。

「医食同源」という言葉があるように、体の調子を整えるには、食事、特に食材の性質がとても大切になります。体質に合わせた食養生に興味がある方は、お気軽にご相談下さい。

漢方薬で良くなった

2023年 1月号

よく「検査では異常がないけど症状がある」「治療をしているけどなかなか改善しない」という時に「漢方薬で良くなった!」という事があります。これは、漢方薬が特別な力を持っているわけではなく、病気の診方(捉え方)が西洋医学と中医学(漢方)では違うからなのです。

西洋医学は病名や症状の起きている部分を診ます。中医学では、体全体のバランスを診ます。体の不調がある時に、どうしてこの症状が起きているのか、体のどこに乱れや弱りがあって起きているのか、全身の状態から考えます。具体的に言うと、「五臓六腑(内臓)に弱りはあるか、調和がとれているか」「気・血・津液(水)」が不足していないか、又はきちんと巡っているか、邪魔している事はないか」など、体の異変を漢方的な診方から判断し、体の状態に合わせた漢方薬が選択される事で初めて効果が出るのです。よくある話では、ある症状をインターネットで調べたら「○○湯」がいいと書いてあったので飲んでみても良くならなかったという事があります。これは、飲んだ漢方薬が症状の起きている原因と違っていたからなのです。逆に体の状態と症状を起こしている原因に漢方薬が合うと、驚くほどの効果があるのが漢方薬の魅力でもあります。

同じ病名や症状であっても人により飲む漢方薬が変わってきますので、漢方薬を選ぶ時は漢方の専門家に相談するのが一番です。漢方薬に興味がある方はお気軽にご相談下さい。

温かいものを飲みましょう

2022年 12月号

温かい飲み物は、なんとなく体にいいとは分かっていると思います。では、なぜ体にいいのでしょう。まず、冷たい物を飲むと、胃腸を冷やします。胃腸の温度は通常、体温+1℃くらいと言われています。そこに冷たい物が入ると、胃腸の温度も低くなります。低くなった温度を戻すのにエネルギーが使われます。すると、エネルギーが減り「疲れやすい」「体調を崩しやすい」「病気の回復が遅くなる」などの症状が起こりやすくなるのです。胃腸は元気を作る臓器ですので、温かい物を飲む事で、エネルギーを消耗せずに元気を作る事ができるのです。

【白湯を飲む】

朝起きたら白湯を飲む事をおすすめします。寝ている間は、体温が下がっているので、朝起きて冷たい物を飲むと血行が悪くなり代謝が落ちてしまいます。朝にヨーグルトを食べる方で注意して頂きたい事は、ヨーグルトは腸内環境を整えますが、「冷やす性質」がありますので、冷え性の方は気を付けましょう。朝一に白湯を飲むと、内臓温度が上がって、代謝も上がり、毎日の体調が良くなります。白湯が飲めない時は、温かいスープでもいいです。

【食事の最初はお味噌汁から

食事の最初に温かいお味噌汁(スープ)が胃腸に入ると、胃腸がゆっくり動き出すので、食事の消化が良くなり、胃腸の負担が減ります。

 

温かい物を飲む時間やタイミングによっても効果が変わってきますので、意識してやってみてはいかがでしょうか。体の調子が良くなりますよ。

髪のお悩み

2022年 11月号

「最近、白髪が気になる、髪がパサつく、ツヤがない、枝毛や抜け毛が多くなった」など髪のトラブルでお悩みになってはいませんか?

中医学では「髪は血の余り」と言われ、血が少ないと髪を養う栄養が足りなくなるので、髪の毛のトラブルが現われてきます。血が十分に身体にあると、髪に栄養が満たされ、髪の毛がイキイキしてきます。爪も同じで、血が減ると爪に回す栄養が足りなくなり、「爪が割れやすい」「爪がもろくなる」という症状が出てきます。こんな症状があれば、血が減ってきているサインとお考え下さい。このような症状に漢方では「補血剤」を使用します。補血剤には、当帰などの自然の生薬が含まれていて、身体に優しく長く飲める所がいい所です。また、温める働きもあるので冷え症の方にも喜ばれています。女性は特に生理で物理的に血が消耗されているので、血の不足になりやすいのです。また、50歳を過ぎると腎(ホルモンも含む)などの消耗も髪に影響を与えます。中医学では「肝腎同源」といい、肝血の消耗は腎を消耗させ、腎の消耗は肝血を消耗させるといいます。このような時は肝腎を補う「補腎剤」というのを服用するといいです。また、髪の栄養があっても血液の流れが悪いと髪に栄養が届かないので、血の巡りを良くする「活血剤」を服用すると効果が早いです。髪のトラブルでは体の中からの影響が大きいので、体質に合わせた漢方薬を服用する事をおすすめします。髪でお悩みの方はお気軽にご相談下さい。

せき

2022年 10月号

新型コロナウイルスが流行り「咳が出ると人の目が気になって」という声をよく聞くようになりました。咳を起こす原因は、中医学では、「肺熱」「肺寒」「肺燥」「痰湿」の4つのタイプに分かれます。咳のタイプに合わせた漢方薬を服用すると改善が早いので、その見分け方をご紹介します。まず、咳が出た時にどんな咳か、空咳か痰が絡んでいるのかを診てみましょう。

「肺熱の咳」は肺に熱がこもっているので、痰が黄色く粘りがある、口が渇く痛むなどと共に咳が出ます。

「肺寒の咳」は肺が冷えているので、痰はサラサラしていて薄く白い、口は渇いていなく、冷えや寒気が原因で起こります。

「肺燥の咳」は肺が渇いているので、痰が少ないか無い、空咳、口が渇く、少量の痰に血が混ざる、顔を真っ赤にして咳込むなど。肺熱と合併している事もあります。

また、急性のものと慢性の体質からくるものがありますので、それによって使う漢方薬は変わってきます。

「痰湿の咳」は肺熱や肺寒と合わさって出てくる事が多く、痰の量が多い、口が粘るなど、白くて粘る痰と黄色い痰でタイプが分かれます。

咳は季節の影響を受けやすく、秋は乾燥する季節ですので、乾いた空咳が多くなります。

また、鼻炎が関係している「鼻咳」「のど咳」もありますので、その時は鼻を改善しないと咳は良くなりません。

タイプにより飲む漢方薬の種類が変わりますので、咳でお困りの方は、咳のタイプを参考にして頂き症状をお聞かせ下さい。

 

更年期障害(女性・男性)

2022年 9月号

更年期障害は閉経前後5年間(45歳~55歳位)に現れる症状で、ホットフラッシュ(急なほてり、のぼせ)、動悸、睡眠障害、イライラしやすい、気持ちが不安定、寝汗をかくなど、出る症状は人により様々で個人差があります。また、全く症状が現われない方もいらっしゃいます。

原因は、卵巣機能の低下により女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、体内のホルモンバランスが乱れる事で起こります。

病院ではホルモン療法が一般的です。

中医学(漢方)で更年期障害は、五臓の「腎」が深く関わっています。

「腎」は腎蔵だけでなくホルモンも「腎」に入りますので、基本的に補腎と言って「腎」を補う漢方薬を使います。それに伴い出ている症状(ほてり、のぼせ、イライラ、不眠、動悸など)に応じて個々の身体のバランスを整える漢方薬の服用で不調を改善していく事ができます。

また、男性更年期という言葉も一般的になってきました。男性は女性と違い閉経が無いので、急なホルモンバランスによる症状が現れず、徐々に起こってくるので、「これって男性更年期かな?」という具合に知らないうちになっている事が多いです。症状は排尿の異常、些細な事で怒る、くよくよ、倦怠感、精力減退などで、対処法は男性も「腎」を補い、出ている症状に合わせた漢方薬を服用するといいです。

ホルモン剤は心配、自然な薬で体を整えたいと考えの方は漢方薬をおすすめします。不調を抱えたら一人で悩まずお気軽にご相談下さい。

 

むくみ

2022年 8月号

むくみには、急性慢性のものがあります。中医学(漢方)では、むくみは肺・脾(胃腸)・腎の三臓が深く関わっていると考えられています。

急性のむくみは、主に顔がむくみ、風邪やにきびなどがきっかけになって起こる事が多いです。この時は、肺の働きを整える事で、むくみが解消されます。「肺」は急須の空気穴のような働きをします。急須の空気穴を塞ぐとお湯が出ないように、肺が侵されると穴が塞がれた状態になり水が出なくなりむくみが起きます。

慢性のむくみは、脾と腎の機能低下が主になってきます。

「脾(胃腸)」は水分代謝をする働きがあり、胃腸が元々弱い方、飲食の乱れにより胃腸に負担がかかると、水分代謝が悪くなり水が氾濫してむくみが起きます。手足・全身のむくみ、食欲低下、軟便・下痢などの症状も見られます。

「腎」は体内の余分な水分を尿に変えて体外へ排出する働きがあるので、腎が弱ると水を出せなくなりむくみが現われます。特徴は下半身のむくみがメインで、足腰が弱い、手足の冷え夜間尿などの症状も見られます。

また、脾と腎が冷えているとむくみは起きやすくなります。二臓が冷えると、水を変化させる力が弱り水を停滞させてしまうためにむくみが起きます。

むくみには五苓散という漢方薬が有名ですが、それだけでは改善されない事も多く、むくみが起きた原因に合わせた漢方薬を選ぶ事で対処する事ができます。むくみでお困りの方はお気軽にご相談下さい。

 

熱中症対策

2022年 7月号

以前の北海道の夏はカラッとした暑さで過ごしやすかったのですが、最近は気温と湿度が高くなり北海道でも熱中症にかかる方が年々増えています。熱中症は、暑さにより体温は上がるけど体の熱が逃げにくい状況になった時に起こりやすいと言われ、野外だけでなく、室内でも起こり得るのです。高齢者は体液が成人より少ない傾向にあるので、熱を冷ます力が弱く、体に熱がこもりやすいので注意が必要です。若い方もエアコンや運動不足などにより、発汗する力が弱くなった事で、体から熱が逃げない為に熱中症になるケースも見受けられます。

熱中症予防には、水分補給適度な発汗が必要です。お食事はミネラルを補える味噌汁梅干し、体のほてりを鎮めるスイカトマトなどを積極的にとりながら対策しましょう。

【熱中症対策に!スペシャルドリンクの作り方

ミネラルウォーターかスポーツドリンク350ml500ml)に麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)という漢方薬を1包入れて、シャカシャカ混ぜて水分補給を行います。麦味参顆粒を加える事で、疲れをとって元気になる(人参)過剰な水分の流出を食い止める(五味子)体に潤いをつける(麦門冬)という3種の成分の働きで、水だけで水分補給するより熱中症予防の効果がUPしますのでおすすめです。夏バテの疲労回復効果もあるので一石二鳥です。8歳から飲める漢方薬ですので、安全でお子様から高齢の方まで幅広く服用する事ができます。今年の夏はスペシャルドリンクで猛暑を乗り切りましょう!

 

不妊治療

2022年 6月号

20224月から不妊治療(人工授精・体外受精)に対して保険適用が始まりました。体外受精の場合、今までは1回に約50万円の自己負担(助成金無しの場合)が掛かっていましたが、3割負担になる事で、1回に約15万円の負担になると言われています。(年齢により回数の制限があります)近年は出産の高齢化に伴い、不妊治療を望む方も増えていて、保健適用になった事で、体外受精の希望者も増えているようです。ただ、保険適用はメリットもデメリットもあると、クリニックの方は言われています。(保険診療と自費診療が同時に行えない為、治療に制限ができてしまう。また北海道では助成金が廃止になった事で逆に治療費が高くなる方もいます)

現代医療の不妊治療は進歩し制度の見直しも行われていますが、子宝を授かると言う事は、いい卵が育つ事。フカフカのベット(子宮内膜)を用意して着床しやすくする事が必要です。しかし、卵巣がうまく機能していなくて質のいい卵がとれない。内膜が厚くならない。フカフカの内膜にならないなどの状態ですと体外受精でも妊娠が難しくなってきます。それを改善するには、妊娠しやすい体に整えてあげる事が必要になってきます。そのお手伝いを出来るのが漢方薬だと思います。病院の検査により妊娠できない原因(PCOS、高プロラクチン、ホルモン値の把握、卵管閉塞、抗精子抗体など)があるか検査も必要です。同時に、身体の状態に合わせた漢方薬を服用する事が妊娠への近道になると思います。

 

眠くてたまらない

2022年 5月号

「睡眠をとっているのに日中眠くなる」なんて事はありませんか? 日中、眠くてたまらないという症状を「嗜眠(しみん)」と呼びます。

中医学(漢方)では嗜眠の原因は、大きく分けて・脾胃(胃腸)の不調・瘀血(血液の巡りが悪い)などが考えられています。

脾胃の不調では、「湿困脾胃」といい、甘い物や脂物など、胃腸に負担のかかる飲食や水分の摂り過ぎ、湿度の高い環境などが原因で胃腸の働きが乱される事で、体に不要な老廃物(痰濁)が溜まり脳に栄養や酸素が運ばれるのをブロックされる事で起きます。体や頭が重だるい、口がネバネバする、便がベトッとするなどの症状も見られます。

もう一つは「脾胃虚弱」といい、胃腸の働きが弱る、または胃腸が冷えている事で食べたり飲んだりした物が栄養に変えられず、老廃物になったりエネルギーが不足する事で、脳に栄養や酸素が届かない為に起こります。食欲が落ちる、食後に眠たくなる、疲れやすいなどの症状も見られます。

「瘀血」では、血液の流れが悪く、滞る事により、脳に栄養や酸素が運ばれる量が減り酸欠のような状態で眠気が現われてきます。肩こりや頭痛、唇や舌の色が紫という症状を伴います。

嗜眠では、脳の器質的な疾患もありますので、病院で検査を受けて、脳に問題が無ければ上記のような体の弱りや乱れが原因と考えられますので、漢方薬で症状を改善する事ができます。気になる方は、一度ご相談下さい。

 

気滞(張る症状)

2022年 4月号

「胃やお腹が張る、オナラがよく出る、ゲップが多い、喉が詰まった感じ、ため息が多い」これらの症状は、中医学では「気滞(きたい)」といいます。気は体の中をスムーズに巡っているのですが、我慢する事や緊張する事が多い、ストレスなどがあると体の気の巡りが滞り渋滞してしまう事で、詰まりや張った症状が現われます。

気滞のある方は、逆流性食道炎や胃痛、腹痛、腰痛を伴う事があります。また、オナラが出るとスッと楽になると言われます。病院の検査で異常が見られないケースも多いです。

最近、逆流性食道炎の方に病院で六君子湯という漢方薬が処方されるケースを多く見かけます。六君子湯は気を増やす漢方薬です。逆流性食道炎の方は、気は足りているが詰まって逆流している状態なので、気を増やすのではなく、気の詰まりをとって渋滞を解消してくれる漢方薬を飲むことによって胃をスッキリさせてくれます。

また、気滞は移動する性質を持っているので、昨日はここが痛かったが、今日は違う所が痛いなど、痛みが固定せずに移動する事もあります。また、ストレスの気滞は両脇が張るような症状も出ます。おならやゲップは臭いがしない事も特徴の一つです。

中医学(漢方)では気滞という概念がありますが、西洋医学ではこの概念は無いようですので、張る症状が気になる方は、漢方薬で気滞をとると早く楽になりますよ。

気になる方はお気軽にご相談下さい。

 

便と排便の状態

2022年 3月号

漢方相談では、便と排便の状態をお聞きする事があります。何故かというと、便と排便の状態から体のどこが乱れているのかを推測する事ができるからです。

体の状態がいい時の便は、スルッとしたバナナ状の便が出て、1~2回拭くぐらいで済み、気持ちよく出ます。

べたつく便「湿困脾胃」と言い、水分代謝が悪く、体に不要な水分が溜まっている合図になります。拭きとりに時間がかかったり、流しても便器に便がついている事もあります。

最初は形になるが、最後は柔らかい、又はベチャとした便が出るのは、「脾虚」といい腸の働きが弱っているタイプです。食後に便をしたくなる方や軟便ぎみの方も「脾虚」が原因の事が多いです。脾虚では、元気や栄養が不足しやすくなります。

下痢が多い人は「脾陽虚」といい体に冷えがある事が分かります。

便秘だと思ったら下痢になるなど、便が一定しない方は、「気滞・肝気鬱」といいストレスなどで、腸のコントロールが狂ってしまった時に起こります。

コロコロ便や硬い便の方は「陰虚・血虚」といい、体の潤い不足や、熱がこもりやすく水分が蒸発する体質の方がなりやすいです。また、ストレスによって腸の蠕動運動がリズミカルに動けない時にも起こります。

便が出るのに時間がかかり、排便後に疲れる方「気虚・中気下陥」といい、腸を動かす力が弱っている状態で、疲れやすい人に多いです。

この様に便と排便の状態から、体の様々な情報が集められます。皆様も便の状態を観察してみて、自分の身体の状態を把握してみて下さい。

 

胃の不調

2022年 2月号

胃が不調になる原因は、「食べ過ぎ・飲み過ぎ」「神経を使う」「元々胃が弱い」などあります。

食べ過ぎ・飲み過ぎは、原因が明らかで、脂っぽい物や甘い物、お酒を飲み過ぎた、または自分の消化能力以上の物を飲食する事で、胃の消化が間に合わず、もたれやむかつきが起こります。このような時は消化を促進させる漢方薬や過食で弱った胃を回復させる漢方薬を飲むと胃がスッキリします。

神経を使う事が多い方では、痛み、張る、ゲップなどの症状が現われます。逆流性食道炎や神経性胃炎もこれらが原因です。これらの症状は、神経を使う事で胃がうまく動かなくなった状態です。胃の動きが悪くなるので張ったような症状やゲップが多くなります。胃の粘膜を刺激すると痛みや胸焼けなども現われてきます。この状態は胃だけの問題ではないので、神経をリラックスさせる事も同時に行わないと症状は改善されません。神経を和らげ、痛みや張りをとる漢方薬を飲むといいでしょう。また、ストレスが溜まると、中医学では「胃に熱がある」と言い、過食になる事もあります。よくいうストレス食べといわれる状態です。この時は胃の熱を冷ます漢方薬を飲む事で、食欲が収まってきます。

元々、胃腸が弱い方は、普段から飲食に気をつけながら、胃を元気にしてくれる漢方薬を飲むといいでしょう。

市販の胃腸薬は症状をとる事はできますが、原因を改善するのは漢方薬が得意です。気になる方はお気軽にご相談下さいね。

 

漢方薬のイメージ

2022年 1月号

初めて漢方薬を飲む方が心配と思われる要素を解説しましたので「漢方薬を飲んでみようかな」と考えている方は参考にしてみて下さい。

「漢方薬は高い」

確かに漢方薬店では保険がきかないので、病院よりも金額が高くなります。その代わり、保険適用以外の漢方薬を飲めるメリットもあります。古くから使われている有名な処方が保険適用には入って無い事もあり、それが疾患を改善するのに重要な処方である事も多いです。そのような処方も漢方専門店では服用する事ができます。 

「漢方薬は苦くて飲みづらい」

漢方薬というと苦い粉で飲みづらいというイメージがあると思いますが、メーカーにより錠剤、丸剤、ソフトカプセル剤、シロップ剤など、処方に合わせて工夫された剤型もあります。更に粉薬をお湯に溶かして飲めるように作られている漢方薬もあり、風味がよくなり効果が高まる処方もあります。「苦いと思ったら逆に美味しかった」と言われる事もあります。 

「漢方薬は長く飲まないと効かない」

漢方薬は体の乱れを整えながら症状を改善していきますので、ある程度時間がかかる事もあります。しかし病気の種類や年数によっても違いますが、症状や体質に合わせた漢方薬きちんと飲んでいくと、大体1ヵ月から3ヵ月位の目安で改善していく事が多いです。 

以上が漢方薬を飲むのに心配な要素の一部を紹介しましたが、「これなら漢方薬にチャレンジしてみようかな」と思った方はお気軽にご相談下さい。

1年を振り返って

2021年 12月号

今年1年を振り返って、わたなべ薬房で多かった漢方相談をご紹介させて頂きます。

鼻水がのどに流れる後鼻漏という症状があり病院の治療で改善しなかった方が、「漢方で」というケースが多かったです。後鼻漏は粘膜の弱りや慢性炎症、血流障害などがあり生活習慣、食事、ストレスなどが絡み合って慢性化させている事が多いので、中医学(漢方)の考えで生活習慣改善を行いながら漢方薬を飲む事で症状が改善していきます。

さらにめまいに悩まれている方も多く、めまいは耳鼻科性のめまいや精神的なめまいなど、原因も多様なので、漢方薬で対処する事でお役に立てたかなと思います。

そして、更年期障害の相談の方からは、漢方薬がいいと思い「加味逍遥散を飲んでみた」という声を聞きますが、単独で使うと症状を悪化させてしまう事も多いので、体の状態に合わせた適切な漢方薬の使い方をご紹介する事が多かったです。

最近増えていると感じるのは、子宝相談です。病院に通われながら漢方で身体を整えようという方が多くなっているようです。検査は病院の得意分野ですが、体を整えるのはやっぱり漢方薬がいいですね。

あと、皮膚病不眠、コロナで日常の変化による自律神経の乱れ不安感を抱えている方の相談も多かったです。

このように漢方相談で来店された方は、病院で症状が改善されない、検査で異常がないけど辛い、という方が多くいらっしゃいました。皆様も何かお困りの事がありましたらご相談下さい。

人はどうして眠る

2021年 11月号

睡眠はとても大切な生理活動の一つです。

では、人はどうして眠るのでしょう。1日の行動により得られた様々な情報を処理する為に脳が睡眠を起こさせると言われています。情報が多く脳が疲れるほど自然と眠くなってくるのです。逆に毎日同じような生活パターンで新しい情報が少ない生活を送っていると眠気が起きない、または睡眠時間が短くなります。高齢の方が眠れないというのは、このパターンが多いようです。この様な方は本などを読んで脳に新しい情報を加えてあげると睡眠が起こりやすくなるようです。

また、脳に刺激が多すぎて精神的な疲労ストレス、または興奮心配事が重なるなど、明らかな原因があって睡眠がとれないという時は、漢方薬などで対処してあげる事も必要です。

睡眠は深い眠り、浅い眠りをリズムよく繰り返しながら記憶の整理や疲労を改善していきます。この作業が行われる時間帯があり、よく言われるゴールデンタイム(20時〜2時)になります。この時、睡眠に必要な栄養(睡眠物質)が肝臓に蓄えられていないと良い睡眠ができなくなります。睡眠物質が肝臓に蓄えられるには夕食をとってから5時間位かかりますので、夜7時までには食事を済ませて 12時前には眠る事が必要です。また、夜8時以降に食事をしていると睡眠物質が肝臓に蓄えられないので寝ても疲労感がとれない状態が起きます。どうしても8時以降に食事をしないとダメな方は、消化を助ける漢方薬を飲む事で、消化が早まり睡眠物質が肝臓に蓄えられやすくなり、朝の目覚めもよくなってきます。また、加工食品の多い食事は睡眠物質が不足しやすくなるので要注意です。

これらのように睡眠は日常の行動と食事(内容や時間)に深いつながりがあるのです。睡眠でお困りの方は、お気軽にご相談下さい。

慢性頭痛

2021年 10月号

慢性頭痛でよく見られるタイプには、片頭痛と緊張型頭痛があります。緊張型頭痛は、締め付けられるような痛みが特徴です。孫悟空の金輪が締められた感じになります。血管が収縮して起きる頭痛です。原因はストレスなどで交感神経が緊張して起きる場合や肩こりなど、筋肉が緊張する事で発生し、血管の圧迫や血液循環が悪くなり起こります。対処法としては、血液の流れを改善したり緊張感をほぐす漢方薬を服用するといいでしょう。

片頭痛は、ズキズキと脈を打つような拍動性の痛みが特徴で、血管が拡張して起きる痛みです。片側ばかりでなく両側で痛む場合もあります。原因は多岐にわたり、ストレス、天気、食事、人混み、臭い、音、光、睡眠障害、月経などに誘発されて頭痛がおきます。片頭痛は脳内のセロトニン不足も関連しています。セロトニンが不足する事で、血管が拡張して炎症を起こし頭痛が発生しやすくなります。*セロトニン(神経を安定させる神経伝達物質)また、片頭痛には気圧の変化によって起きる天気痛。(天気が悪くて起きる場合と逆に晴れた日に起きるパターンがあります)立つと頭痛がする脳脊髄液圧の低下による頭痛や生理前に痛みが激しくなる頭痛などもあります。片頭痛は誘発原因などを含め体質や症状に合わせた漢方薬の服用をするといいでしょう。

慢性頭痛で、鎮痛剤を飲み続けるのが不安という方は、漢方薬で体質改善をしながら鎮痛剤を飲まなくてもいい体作りを始めてみませんか?気になる方はお気軽にご相談下さい。

大人にきび

2021年 9月号

にきびは、青春のシンボルと言われ、思春期に一番多く見受けられます。思春期に何故多いかというと、ホルモンバランスの乱れ、皮脂の分泌が旺盛な事などが原因となります。思春期のニキビは、ホルモンバランスが整ってくると落ち着いてくる事がほとんどです。とは言っても炎症状態が長く続くと跡が残る事もあるので炎症が長引いている場合は、しっかり対処してあげる事も必要です。

大人ニキビ20歳を超えてからも現れるニキビで、こちらはしつこく治りづらい。繰り返し発症するのが特徴です。しつこく慢性化した大人ニキビを改善するには、ニキビが発生するメカニズムを知ると、自ずと改善作が見えてきます。ニキビはホルモンの乱れから皮脂の分泌、角質の増殖が活発になって毛穴が詰まり細菌感染などが原因で炎症を起こしている状態です。さらに、食生活や腸内環境の悪化、ストレスなどの要因が加わりさらに治りづらく慢性化させてしまっているのです。これらをふまえて改善する方法は

❶毛穴の詰まりをとる❷炎症を抑える❸ホルモンバランスを整える事が必要です。

さらに生活習慣を見直していく事で、慢性化させている要因が減り、根本治癒する事ができるのです。出ている症状は「毛穴の詰まりによる炎症」ですが、治りづらいのは、ホルモンが大きく関係しているので、ホルモンを整える漢方薬を加える事で改善度が違ってきます。

夏バテは暑さより湿度

2021年 8月号

「暑くて体がしんどい」という方が特に多かった今年の夏ですが、まだまだ油断は禁物です。最近の北海道はお盆を過ぎた後も湿度が高く体にこたえる暑さが続く事が多いです。ちなみに夏バテは暑さの影響より湿度の影響が大きいです。実際、日本より気温の高い所から来た外国人でも日本の夏は体にこたえると言われます。それは、高温多湿な日本の気候が影響していると思われます。湿度が高いと空気がどんよりして、ベタ~っと湿気が体にまとわりつく事で、体が重だるくなってしまいます。気温が高くても空気がカラッとしていると、体もそんなにしんどくないものです。という事で、夏バテや体が重だるい疲れには湿気対策が効果的です。寝ても疲れがとれない、栄養剤を飲んでも元気がとれないという方は、体に溜まった湿気を取り除く対処をすれば、体がスッキリして軽くなってきます。このような疲れは栄養が足りないのではなく、体に不要な湿気が溜まり、悪さをしているからです。体の湿気を取り除くには漢方薬が効果的です。自分も随分助けられています。体に溜まった湿気を取り除き残暑を快適に過ごしましょう!

【体に湿気が溜まっているサイン】   

めまい  食欲が湧かない 寝ても疲れがとれないむくみ しめつけられる頭痛 便がベトッとしてきた 体や頭が重いなどの症状がある方は湿気が悪さをしている可能性が大ですので、気になる方はお気軽にご相談下さい。

夏に摂りたい食品

2021年 7月号

7月、8月は気温や湿度が高くなる季節です。夏バテという言葉がありますが、この時期は体調を崩しやすくなりがちです。そこで、今回は夏の体調不良を改善する食品をご紹介させて頂きます。夏と言えば暑さです。気温が高くなると、汗をかき、体がほてった感じになります。そんな時にはスイカトマト塩をかけて食べるといいです。スイカやトマトは体の熱をとるので、体のほてりを鎮めてくれるのと、失われた水分の補給にもなります。また、塩をかける事でミネラルの補給にもなります。そして暑さに湿度が加わると食欲が落ちてきてしまいます。そんな時は、冷奴に生姜をつけて食べる。また、苦味のあるゴーヤもいいです。食欲増進効果があるのでおすすめです。また、梅干しは疲労回復効果や食欲増進、ミネラルの補給にもなるので、夏は積極的に摂りたい食材の一つです。ミネラルや水分の補給に優れているのはお味噌汁。夏のむくみにはキュウリがいいですよ。これらの様に季節に合わせて旬の物を食べるのがポイントです。冬にスイカやゴーヤを食べると体が冷えてしまうので体調不良に・・・、夏の暑い時に適している食材となります。気をつけたいのは、冷たい物の取り過ぎです。冷たい物は胃腸の働きを低下させて夏バテ一直線となりますので、冷たい物を摂った後は温かいお茶を飲むようにしましょう。これらを参考に元気に夏を過ごしましょう!

不安感

2021年 6月号

最近、人と会って話す機会が減ったり、行動が制限され、家に居る事が多くなった事で「不安感を感じている」という方が増えています。人と会って話す事や外出する事で、気持ちが晴れやかになったり発散できたりしますが、そういう機会が減ると気持ちが欝々となり不安感が出てきやすくなります。

不安感は、考え過ぎや悩み事、嫌な事、ストレスなどが重なる事で、脳が疲労して脳の栄養が消耗される事で起こります。

症状としては「睡眠が浅い」「些細な事が気になる」「集中できない」「落ち着かない」「動悸がする」「物忘った」「イライラしやすい」など、人により出る症状は様々です。

中医学(漢方)では、不安感は脳=心(こころ)の栄養が消耗した状態(心血不足)、または心の栄養が枯れた状態(心陰不足)になると現れると言われています。心血不足では食欲が湧かなかったり、悩みやすくなったり、脳の働きが鈍くなったりします。心陰不足では、焦りやすい、イライラ、じっとしていられないなどの症状が加えて見られます。

心(脳)の栄養が不足した時には、12時前には就寝をするようにして、深呼吸をこまめにしましょう。「竜眼肉、遠志、当帰、酸棗仁」などが入った漢方薬もおすすめです。食事は「ナツメ、百合根、黒ゴマ、豆類」などを積極的に取り入れるといいでしょう。注意する事は、コーヒーや辛い食べ物は不安感をあおるので、不安感がある時は控えめにしましょう。

不安感が気になる方はお気軽にご相談下さい。

後鼻漏(こうびろう)

2021年 5月号

鼻水がのどに流れて、イガイガ、ネバネバする、咳込むなどの症状を後鼻漏(こうびろう)と言います。急性の場合は病院の治療で改善される事もありますが、慢性化するとなかなか改善しづらい症状です。鼻水が喉に流れるというのは症状で、起こしている原因は人により様々です。副鼻腔炎や慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎などが絡み合っている事が多いです。よく見られるのは、風邪を引いた時に副鼻腔の粘膜がやられて、その後、粘膜が修復できずに慢性化してしまう事が多く見られます。通常なら鼻の粘膜が刺激されて前から鼻水が流れてきますが、後鼻漏は副鼻腔の粘膜が刺激を受けて鼻水が流れるので前ではなく喉の方に流れるという仕組みがあります。そして、慢性化させている原因の一つに食事や生活習慣、体質が大きく関わっています。例えば、自分の消化処理能力以上に食べたり飲んだりすると、それが体に不必要な老廃物として溜まり、それが鼻水や痰の材料になってしまします。甘い物は鼻の粘膜をむくませ、過剰な水分は水毒となり鼻水や痰の量を増やします。冷たい飲み物やコーヒーなども胃腸を冷やすので、胃腸の働きが低下して老廃物を生みやすくします。体質では、疲れやすい、暑がり又は冷え症なども慢性化させている原因となります。後鼻漏を改善するには、食事や生活習慣を見直しながら、体質や症状に合わせた漢方薬を服用する事で、改善する事ができます。何年も症状が改善できずにお困りの方は、お気軽にご相談下さい。

めまい

2021年 4月号

めまいの症状には、周囲がぐるぐる回る回転性のめまいや姿勢を変えた時にグワンとするめまい、足元がふらつく船の上に乗っているような感覚のめまい、立ちくらみなど、原因により出る症状は様々です。めまいには内耳が原因の「内耳性めまい」脳が原因の「中枢性めまい」があります。中枢性めまいは重篤な症状も考えられますので検査が必要です。内耳性めまいには、良性発作性頭位めまい(耳石がはがれて半規管の中で動く事で起きるめまい。姿勢を変えた時に起こりやすい)前庭神経炎(ウイルスや菌により炎症を起こしためまい。風邪や高熱の後に起こります)メニエール病(半規管と蝸牛の中のリンパ液が濁りむくむ事で圧がかかり起こるめまい。回転性や耳鳴り、頭が重い、嘔吐を伴う事があります)以上が耳鼻科で診断されるめまいになります。その他に、検査をしても異常が見られないめまいもあります。精神的疲労が原因の「心因性めまい」やストレスや体質、季節により起こる「肝陽上亢」、過労や虚弱な体質な為に起こる「上気不足・気血両虚のめまい」、飲食の不摂生により老廃物が影響する「痰濁中阻」「加齢によるめまい」などがあります。これらは、体の弱りや乱れ、体質などが原因でめまいを起こします。めまいに対して漢方・中医学ではそれぞれの対処法がありますので、「検査で異常が見られない」「治療をしていてもいまいち改善しない」という方は、漢方薬を考えてみてはいかがでしょうか? めまいが気になる方はお気軽にご相談下さい。

日本人は糖尿病になりやすい

2021年 3月号

現在、日本での糖尿病患者は予備軍を含め2000万人いると言われています。日本は欧米に比べて高度肥満者が非常に少なく、世界の中でも肥満者が少ない国と言われています。それなのに糖尿病になる人が多いのは何故でしょう?食事が欧米化した事に加え、どうやら日本人の体質が大きく関係しているようです。まずは、糖を分解するインスリンの分泌量が元々少ない人種という事があります。日本人は農作物を食べてきた人種なので、糖を分解するインスリンの量は少なくてもよかったからです。もう一つは、日本人は、インスリンが効かなくなる要素を持っているからと言われています。これはどういう事かというと、内臓脂肪がつくと脂肪組織が肥大して慢性炎症が起きインスリンが糖を分解できなくなります。これをインスリン抵抗性といいます。このインスリン抵抗性が、内臓脂肪が多少ついただけで起きてしまうのが日本人の体質と言われています。そんなに太っていないのに糖尿病になる方はこのパターンになります。

このように、インスリンの分泌量が元々少ない、少ない内臓脂肪でもインスリンの効き目が悪くなる事が日本で糖尿病が多い原因の一つと言えます。

糖尿病対策には、基本は食事と運動になりますが、内臓脂肪の蓄積を抑え、脂肪組織の肥大による慢性炎症を抑えてインスリン抵抗性を起こさないようにする事が大切です。

皮膚炎と食養生

2021年 2月号

漢方で皮膚病を改善していく時に、食養生がとても重要になります。「アトピー性皮膚炎、ニキビ、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、赤ら顔」など皮膚病全般で食養生を行うのと行わないのとでは、改善の仕方が全然違うのです。ここで気を付けたい事は、テレビや雑誌などで皮膚には〇〇〇という成分がいいという物に飛びついてしまう事です。皮膚炎の方は処理できなかった老廃物が皮膚の状態を悪化させているので、ここで行うのは「何か栄養をとる」ではなく「何かを出す」つまり解毒(デトックス)する事が最優先となります。そして老廃物を溜めないようにする事も必要です。皮膚の炎症や解毒を行うのが漢方薬。老廃物を溜めないようにするのが食養生です。ここで気を付けたい食べ物をご紹介します。甘い物・脂物(チョコレート、菓子パン、甘いお菓子、揚げ物など)体の中で滞りドロドロを生みます。辛い物(唐辛子、カレーなど)刺激が強く熱性があるので炎症を強めます。コーヒーも興奮性があり熱性を高めます。乳製品(牛乳、チーズなど)高タンパクで消化吸収しにくいので老廃物の材料になります。冷たい物(アイス、刺身など)胃腸を冷やし食べ物の消化を低下させ老廃物が作られやすくなります。他にアルコールタバコなども悪影響を与えます。積極的に行う事は、煮物など和食中心に、パンよりご飯葉物の野菜(キャベツ、小松菜、白菜など)の比率を多くするといいです。

最初から完璧にしようと思うと難しいですが、やった分だけ効果に違いが出ますので、できるだけやれる事をやってみましょう。

冷え症さんの冬の過ごし方

2021年 1月号

寒さが厳しくなり、冷え症の方にとっては辛い季節と思います。冷え症と一言で言っても、冷えのタイプは大きく分けて3つあります。1つは「温める力が弱っている冷え」で、足腰やお腹、お尻や足首が冷える事が多いです。2つめは「血の巡りが悪い冷え」で、手足の先が冷たくなります。3つめは、「血が少なく温める物が少ない冷え」です。顔色が白かったり、立ちくらみしやすい方に多く見受けられます。一言に冷え症と言っても起きている原因は様々ですので、原因にあった対処法を行う事が大切ですので、気になる方はご相談下さい。

生活の中で気をつける事は、朝起きたら温かい飲み物を飲むようにして下さい。冷え症の方は体温より低い飲み物を飲むと、体温が下がって温めるのに時間がかかります。朝は一番冷える時間なので、まずは温い物を体に入れましょう。温かいスープや白湯などがいいですね。ホットコーヒーは温かいですが、コーヒーの性質は「寒」なので、体を冷やします。冬の間は控えた方がいいですね。そして、食事は体を温める食べ物を積極的にとりましょう。鮭や羊肉(ジンギスカン)、葱、お鍋、生姜(のぼせや乾燥症状のある方は注意)など。それと体を冷やす物を極力避けた方がいいです。冬に冷たいアイスはもちろん良くないですが、お寿司やお蕎麦、果物(南の地方の果物、特にバナナ)などは体を冷やしやすくするので、気をつけましょう。

冷え対策は飲食に気をつけながら、体を冷やさない工夫をする事が大切です。

冬 は 蓄 え る 季 節 で す

2020年 12月号

中医学で季節と臓腑には密接な関係があると考えられています。春は「肝」夏は「心」夏から秋は「脾」秋は「肺」そして今の季節の冬は「腎」などが関連し合っています。「腎」は西洋医学の腎蔵の意味とは違い、中医学の腎は生命エネルギーを貯蔵している臓腑と考えられています。腎の季節は冬なので、冬に頑張り過ぎたり体力を消耗する事をすると生命エネルギーの蓄えが減ってしまうので要注意です。冬は「気力や体力を温存して蓄える」事を意識して生活する事が大切になります。何故、冬に蓄える事が大切かというと、草木が芽吹き寒い冬から暖かな陽気が上がり始めて活動的になる春の季節を迎える時に腎の蓄えが少ないと「精神的な不調、なんとなく体が不調、アレルギーや目の疲れ」などの不安定な症状が現われやすくなるからです。毎年、春先に不調を訴える方は冬に腎を消耗してしまっていたのかも知れませんね。また、春の次の夏は活動的になる季節で、エネルギーが消耗されやすく、ここでも蓄えが少ないと「夏バテしやすい、不眠や動悸など心臓の負担が増える」などが現れやすくなります。このように冬に腎を消耗すると、その先の春や夏にも影響が現われてしまうのです。ちなみに秋は夏の消耗した体力を回復して、冬に備える季節となります。

冬の過ごし方は①頑張り過ぎない②睡眠をしっかりとる③体を冷やさないように温める④黒・白ゴマや山芋、豆腐、豚肉、白菜などを積極的に食べるなどを実践してこの冬を過ごしてみませんか。

風邪の引き始めは葛根湯だけじゃない 

2020年 11月号

冬になると増えてくるのが風邪です。風邪の時の漢方薬といえば、「葛根湯」が有名です。葛根湯は「風邪の引き始めの薬」と認識されている方が多いです。これは合っているといえば合っていますが、間違っているといえば間違っています。どういう事かと言うと、中医学では、風邪の引き始めにもタイプがあり「風寒のかぜ」と「風熱のかぜ」があると考えられています。

「風寒のかぜ」は、冷えが身体に入ってブルブル寒気がする、汗が出なく、口は乾かないのが特徴です。この時は寒気が主なので発汗させて温めながら冷えを飛ばす葛根湯麻黄湯が合っているタイプの風邪です。

「風熱のかぜ」は、熱の邪気なので、のどの痛みが強く、寒気もあるが熱っぽさが強く、口が渇くのが特徴で、清熱させて風邪を追い出す銀翹散が効くタイプの風邪です。また「風湿のかぜ」というのもあり、こちらは胃腸にきた風邪で、風邪の症状に下痢や吐き気が伴うのが特徴です。霍香正気散などを選択します。

このように風邪の引き始めでも風邪のタイプによって対策や飲む漢方薬が変わってくるのです。引き始めが風熱のかぜで清熱しないとダメなのに、風邪の引き始めだからといって葛根湯を飲むと、余計に熱を煽り、さらに発汗させて体力を消耗してしまい、風邪をこじらせてしまうので要注意です。

これからは「風邪の引き始めに葛根湯」ではなく風邪のタイプに合わせた漢方薬を正しく選択するようにしていきましょう。

秋の咳は乾燥 

2020年 10月号

秋になると空気が乾燥してきます。臓腑の中で、乾燥に影響を受けやすい臓腑は「肺」です。漢方・中医学での「肺」は鼻、ノド、気管支や皮膚、大腸に関係していると言われます。ですので、乾燥してくると、鼻炎、喉の乾燥、咳、皮膚のかさつき、便秘などの、呼吸器系や皮膚、大腸系の症状が起こりやすくなります。以前、副鼻腔炎の治療中のお客様が、肺熱をとる漢方薬を服用していて便通が良くなったという例がありました。この例のように肺と大腸と鼻には密接な関係があるのです。また、肺といえば「せき」が一番多い症状ですが、肺は「潤いを好み、乾燥を嫌う臓腑」です。秋の乾燥した空気が、肺を犯すと肺気の働きに影響を与え咳が出やすくなります。秋によく出る咳の特長は空咳で、痰は少なく粘りがあります。対策としては、肺を潤わすような漢方薬を飲むといいでしょう。肺が渇いた時に出る咳に気管支拡張剤などの咳止めは病因が違うので改善しづらいのです。また、食養生としては、刺激のある食べ物、例えば「唐辛子、ネギ、生姜」などは、乾かして潤いを奪うので乾燥の症状が出ている方は控えた方がいいです。積極的にとりたい食品は「梨や柿」などの秋が旬の食べ物です。これらは肺を潤わしてくれる働きがあるので乾いた咳の時はおすすめです。

まだまだコロナが治まらない現状で、「咳をすると周りが気になる」という方は多いと思います。咳止めを飲んでもなかなか改善されなくて困っているという方は一度ご相談下さい。

長期の微熱 

2020年9月号

近、何日も微熱(37℃〜38℃)が続き病院に行っても異常がないと言われ、困って相談に来られる方が多く見受けられます。病院などでは、風邪の他、感染症、炎症があるかなどを検査で調べます。しかし検査で異常が見つからなければ、対処する事ができないのです。漢方・中医学では、検査で異常が無いのに微熱が続く事に対しての考え方があります。主に 「陰虚発熱」「気虚発熱」が多く見受けられます。他に「風邪の熱、決まった時間に発熱、ストレス性の熱」など、発熱のパターンは様々ありますが、よく見られる長期に微熱が続く陰虚発熱と気虚発熱のパターンをご紹介します。

「陰虚発熱」は、体を滋養する陰液の消耗により余った陽気が熱となる事で発熱します。症状は口が渇く、寝汗、夕方からのほてり、舌が赤いなどを伴うのが特徴です。この時は、減った陰液を補いながら熱を鎮める漢方薬を飲むと熱が落ち着きます。

「気虚発熱」は、疲労が続いた事で起きる熱で、疲れがある、元気がでない、食欲不振などを伴うのが特徴で、この時は、疲労を取り除き元気を回復する漢方薬を飲むと熱が落ち着きます。

風邪のような急性の熱は長くは続きませんが微熱は体の消耗が関係しているので、長く続く傾向にあります。それぞれの原因に対して対処をする事により、微熱は治まってきます。

このように漢方・中医学では長期の微熱に対しての対処法があります。検査で異常がないのに微熱が続いてお困りの方はお気軽ご相談下さい。

夏のダメージ 

2020年8月号

以前はお盆が過ぎると、秋の気配がしてきた物ですが、最近はお盆を過ぎてからでも暑い日が続く事が多いですね。残暑と言われますが、年々体にこたえる残暑になってきているように感じます。暑い日が続くと、体温調整の為に汗を出します。中医学では、汗と共に気(元気)が失われ、陰液(体液)が消耗されると言われます。すると疲れがとれづらい、元気がでない、口やのどが渇く、ひどくなると熱中症となってしまいます。また、心臓に影響すると「動悸や息切れ」体液が消耗する事で「体がほてる、睡眠に影響が出る」などの症状が現われやすくなります。そんな時には、気(元気)や陰液(体液)を補う事のできる漢方薬を体質に合わせて飲む事で、体が楽になります。また、暑い暑いと冷たい水を摂り過ぎると、胃腸の働きがダウンしてしまいます。飲んだ水分を体が使える水に変える働きをしているのが胃腸です、胃腸が冷えると、飲んだ水分が体に活かされず、不必要な水となり溜まってしまいます。更に湿度が高いと体の水気が抜けづらくなるので、食欲が無い、体が重だるいという症状が現われてきます。このような胃腸の働きがダウンして重だるい疲れがある方は、体の水気を抜いて胃腸の働きを回復される漢方薬を飲むと体がスッキリします。

このように8月・9月は気温と湿度が、体に大きく影響してきます。この原因に対する対処をしてあげる事で、毎日を快適に過ごす事ができます。夏バテ・秋バテが気になる方はお気軽ご相談下さい。

マスクによる肌あれ 

2020年7月号

気温が上がり湿度が高くなる今の季節に、毎日長時間マスクをしていると、「顔がヒリヒリ」 「ブツブツや吹き出物が出る」などマスクによる肌荒れで悩まれている方が多くなっています。マスクを長時間つけていると、肌がマスクと接触し圧迫された状態になります。そこで喋ったりする事で絶えず摩擦が起こり、肌のバリア機能が損傷してきます。更にマスクをしていると「呼吸により蒸れる」「熱気と湿気を発散しづらい」などの条件も加わり雑菌や真菌、微生物などが増殖し、肌の常在菌のバランスが乱れ、肌にダメージを与えた結果、炎症性のトラブルが発生してしまう事がマスクによる肌荒れの原因となるのです。対策としては、マスクによる肌荒れは炎症性のトラブルがメインになりますので、炎症の原因(中医学では熱毒・湿熱と言います)を取り除き熱を冷まして炎症を鎮める方法で、肌バリアを守りながらデトックスする事が重要となります。スキンケアは、肌トラブルがある時は、普段使っているスキンケアをお休みして、炎症をとる、デトックスするなど肌トラブル専用のスキンケアに変更して肌への負担を減らして修復していく事が必要です。また、肌の状態に合わせた漢方薬の内服患部に薬液をつける漢方シップなどを使用すると回復が早いので、早く回復したい方や、なかなか改善しない方にはおすすめです。マスクによる肌荒れで、お困りになられている方はお気軽にご相談下さい。

 

その不調、湿気のせいかも? 

2020年6月号

6月に入り暖かな日が多くなってきましたね。気温が上がるのと同時に湿度も高くなってきます。北海道は本州に比べて湿度は低いですが、年々湿度が高くなってきているように感じられます。湿度が高くなると、身体の不調を訴える方が多くなってきます

例えば、体が重だるくなる、疲労感や倦怠感がとれない、頭が重い、食欲が無くなる、しめつけられる頭痛、むくみ、眠たくなる、関節の痛みやだるさ、めまい、皮膚トラブルなど。これらの不調の原因は湿気が影響していると考えられます。湿度が高くなると、体の中の湿気が発散されにくくなり、体に停滞してしまいます。すると余分な湿気が体に溜まる事で、上記の様な症状が現われてきます。更に脾(胃腸)は湿気を嫌うので、胃腸の働きが乱れ、食欲が落ちたり、便に粘りが出てくる方もいます。また疲労感があり栄養補給をしてもとれない疲れは、湿気が影響している事が多いです。対策としては、体に停滞した湿気を取り除いてあげる事で不調が改善していきます。例えば、軽い運動で汗をかく事で湿気が体から出ていきやすくなります。飲食は、冷たい物や味の濃い物は控えましょう。これらは胃腸の働きを低下させ水分代謝を悪くするので体に湿気を停滞しやすくしてしまいます。体に溜まった湿気は、取れづらく居座る傾向があるので、それでもダメな時は、湿気を体から追い出す漢方薬を飲むと早く湿気がとれて体がスッキリします。自分の不調の原因が湿気かなと思われる方はお気軽にご相談下さい。

女性のイライラ

2020年5月号

特別な理由もなくイライラしやすい、怒りっぽくなった、怒った後に後悔するなんて事はないですか?それは、アナタが悪いのではなく身体がそうさせているのです。そうさせている原因は、女性の身体の仕組み、月経周期と関係している事があります。女性は生理がある事で毎月、血を消耗しています。中医学では血がたっぷりあると心に余裕が生まれ、気がスムーズに巡ります。逆に血が消耗され回復されていないと、気をスムーズに巡らせる働きができなくなり、イライラしやすくなると考えられています。更に生理後10日後から生理開始前までは黄体期(高温期)といい体温が高くなる時期なので、身体に熱がこもりやすくなります。自然界では、熱い物は上へ上へと上がる性質をもっているのでこもった熱が身体の上部にある脳に上がると神経を過剰に興奮させイライラしやすくなったり、怒りっぽくなったりするのです。更年期でイライラするのも、身体にこもった熱が悪さをするという意味では似たような仕組みで起こっています。熱は機能を亢進させるので、イライラや動悸、のぼせ、ホットフラッシュなど亢進する症状が多く見られるのもそういう事なのです。対策としては、不足を補い、気の巡りを良くしながら頭部に上がった熱をクールダウンするような漢方薬を飲む事で本来の自分の姿に戻ってきます。生活習慣では12時前には寝る、夜更かしや考え過ぎは心の栄養が消耗されますので要注意です。気持ちを伸びやかにして気を巡らせる、春菊やセロリ、かんきつ類など香りのある食べ物を積極的に食べるといいです。イライラが強い時に辛い物やコーヒーは熱をあおり興奮させるので控えるなどの工夫をしながら生活していくといいです。身体の乱れを整えていく事で、気持ちも変化していきます。気になる方は、お気軽にご相談下さい。

アレルギー性鼻炎ではないの?
(血管運動性鼻炎)

2020年4月号

花粉症の方が新型コロナウイルス感染者と間違われないように「周囲の人に花粉症だとお知らせする缶バッチ」が話題になりましたが、北海道ではこれから白樺花粉の時期になってきます。更にアレルギー性鼻炎や温度差による鼻水やクシャミが出る血管運動性鼻炎などの症状が盛んになる季節です。今回はアレルギー性鼻炎に似ているけど違う「血管運動性鼻炎」についてご紹介します。症状はアレルギー性鼻炎に似ていて、くしゃみ・鼻水が出るけど、検査をしてもアレルギーではない(Ige抗体がみられない)という症状が血管運動性鼻炎です。血管運動性鼻炎は「温度差」「姿勢の変化」などで鼻水やくしゃみを頻発するのが特徴です。例えば寒い所から暖かい所 暖かい所から寒い所に行くと症状が強くなる。朝起きるとくしゃみを連発する、安静時や就寝時、食事中などに鼻水が多くなる方もいます。では、なぜ起きるかというと、鼻の周りの血の巡りが悪いために鼻粘膜が過敏になる事で起こります。例えば、気温が変化する事で、血液の流れに変化が起き、それに反応して鼻水が溢れ出てしまうのが一つ。寝ている姿勢から体を起こすと血液の流れが上から下へと変化するために、くしゃみを連発させて血液の流れを上に戻そうとする人間の防衛反応により鼻水が出てくるのです。

対策としては、冷たい物の飲食を控えるなどしながら、鼻の血流を良くして粘膜のバリア機能を高める事が必要です。アレルギーでは無いけど、温度差で鼻水が出る方は血管運動性鼻炎かもしれません?気になる方はご相談下さい。